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糖尿病網膜症

糖尿病による高血糖が続くと、網膜の血管が障害されます。見え方に問題がなくても、定期的な眼科検診が大切です。

糖尿病15年以上で罹患
約半数
糖尿病の代表
三大合併症
初期症状
自覚困難

症状と受診の目安

糖尿病網膜症は、糖尿病の三大合併症の一つで、長期間の高血糖により網膜の血管が障害される病気です。日本の視覚障害の原因の上位を占めます。

糖尿病網膜症の最大の問題は、初期から中期にかけて自覚症状がほとんどないことです。視力低下などの症状が現れた時には、すでにかなり進行している場合が多く、治療が困難になっていることがあります。

  • 初期は自覚症状がほとんどない
  • かすみ目、ぼやけて見える
  • 視力低下
  • 飛蚊症(黒い点や糸くずが飛んで見える)
  • 視野の一部が欠ける
  • 突然の視力低下(硝子体出血や網膜剥離の場合)

見えていても、定期的な眼科検診を

糖尿病と診断されたら、自覚症状がなくても必ず定期的な眼科検診を受けることが極めて重要です。早期発見・早期治療により、失明を防ぐことができます。

原因と気をつけたい方

糖尿病網膜症は、長期間にわたる高血糖で網膜の細い血管が傷む病気です。血液成分が漏れる変化と、血流が滞って酸素や栄養が届きにくくなる変化が、網膜に影響します。

糖尿病の罹病期間が長くなるほど、また血糖コントロールが不良なほど発症・進行のリスクが高まります。糖尿病発症から15年以上経過すると、約半数の方に何らかの網膜症が見られると言われています。

網膜の血管に起こる変化

血管の傷みと血液成分の漏れ

血管の壁が傷むと、出血や血液成分の漏れが起こります。黄斑にむくみが生じる「糖尿病黄斑浮腫」は、初期の段階でも起こることがあり、視力低下につながります。

血流の滞りと新生血管

網膜の血管が詰まると酸素が不足し、それを補おうとして異常な血管(新生血管)が生じることがあります。新生血管はもろく、出血しやすい性質があります。

進行すると起こること

  • 硝子体出血:新生血管が破れ、目の中の硝子体に出血することがあります。
  • 網膜剥離:増殖した膜状の組織が網膜を引っ張り、網膜が剥がれることがあります。
  • 新生血管緑内障:新生血管が目の中の水の出口にもでき、排出を妨げて眼圧が上がることがあります。

特に気をつけたい方

  • 糖尿病の罹病期間が長い方
  • 血糖コントロールが不良の方
  • 高血圧の方
  • 腎症を合併している方(透析中の方を含む)

検査・診断

糖尿病網膜症の診断には、網膜の状態を詳しく観察する検査が必要です。当院では以下の検査を組み合わせて、病期の判定と治療方針の決定を行います。

視力検査

現在の視力を測定します。ただし、初期の糖尿病網膜症では視力が正常なことも多いため、視力検査だけでは不十分です。

眼底検査

瞳孔を開いて網膜の状態を詳しく観察します。出血、白斑、新生血管の有無などを確認し、病期を判定します。

光干渉断層血管撮影(OCTアンギオグラフィー)

造影剤を使わずに網膜の血管を描出し、血管の狭まりや閉塞を調べます。

光干渉断層計(OCT)検査

網膜の断層画像を撮影し、網膜の腫れ(黄斑浮腫)の有無や程度を評価します。

眼底写真撮影

網膜の状態を記録し、経時的な変化を比較するために撮影します。

治療方法

糖尿病網膜症の治療は、病期に応じて選択されます。最も重要なのは血糖コントロールですが、ある程度進行した場合は眼科的治療が必要になります。内科医との連携が不可欠です。

血糖コントロール(最も重要)

糖尿病網膜症の進行を抑える基本は、適切な血糖コントロールです。内科医と連携し、HbA1cを目標値に保つことが重要です。

  • 食事療法、運動療法の徹底
  • 適切な薬物療法
  • 定期的な血糖測定

レーザー光凝固術

網膜にレーザーを照射して、新生血管の発生を抑え、進行を防ぐ治療です。増殖前網膜症から増殖網膜症の段階で行います。

  • 外来で実施可能
  • 新生血管の発生を予防
  • 視力を維持することが目的
レーザー治療について詳しく

抗VEGF薬の硝子体注射

糖尿病黄斑浮腫(糖尿病網膜症に伴う黄斑のむくみ)に対して、眼内に薬剤を注射する治療です。血管からの水分の漏れを抑え、むくみを改善します。

  • 外来で実施可能
  • 定期的な投与が必要な場合あり
  • 視力改善効果が期待できる
硝子体注射について詳しく

硝子体手術

硝子体出血や網膜剥離が起きた場合に行う手術です。目の中の出血を取り除き、剥がれた網膜を元に戻します。

  • 高度な技術を要する
  • 早期の手術が重要
硝子体手術について詳しく

当院での硝子体手術をご希望の場合は、横浜市立大学附属市民総合医療センター眼科で、執刀医の門之園教授が診察し、手術の適応を判断します。日帰り手術が可能と判断された場合に、当院で手術の予定を立てます。病状や全身状態によっては、入院設備のある医療機関での手術をご案内します。

糖尿病網膜症は、治療により進行を止めたり遅らせることはできますが、失われた視力を完全に回復させることは困難です。そのため、早期発見・早期治療が何よりも重要です。定期的な眼科検診を必ず受けましょう。

日常生活と定期検査

糖尿病網膜症の予防で最も重要なのは、血糖値を適切にコントロールすることです。糖尿病と診断されたら、自覚症状がなくても必ず定期的な眼科検診を受けてください。

  • 血糖値の厳格なコントロール(HbA1c 7.0%未満)
  • 定期的な眼科検診(最低年1回、進行している場合はより頻繁に)
  • 血圧管理(高血圧も網膜症を悪化させる)
  • 禁煙(喫煙は血管障害を促進)
  • 適度な運動
  • バランスの良い食事

糖尿病の罹病期間が長くなるほど網膜症のリスクは高まりますが、良好な血糖コントロールを維持することで、発症や進行を大幅に抑えることができます。内科医と眼科医の両方と定期的に相談し、トータルな管理を心がけましょう。

気になる症状がある方は
お早めにご相談ください

見え方の変化に気づいたら、早めに眼科を受診してください。